今回の記事は、
- マーケティングを学習・実践している
- マーケティングについて頭の整理をしたい
- マーケティングの知識をさらに深めたい
といった方にオススメです。
マーケティングに関わっていると頭の中がごちゃごちゃしてきませんか?
ブランディングはどうしよう…
ペルソナが設定できねぇ…
KPIはこれでよかったのか…
などなど…
明確な答えがないので、けっこう大変ですよね。
今回ご紹介する書籍を読むことで、
- 筋道がたつことで頭の中がスッキリする
- マーケティングの歴史と成功事例を体系的に学べる
- 新たな手法が手に入る
というメリットが得られます。
そして、今回ご紹介する書籍がコチラ!
総ページ数656ページの鈍器本、『全史×成功事例で読む「 マーケティング」大全』です。
理論や手法を書いた本は数多くありますが、ここまで具体的かつ実践的な内容が書かれている本に出会うのは初めてです。
実践編で21社の事例をもとにマーケティングの視座と考え方が紹介されており、その部分だけでも相当な価値があると感じました。
メリット盛り沢山の書籍です。
著者・編著者プロフィール
【著者紹介】武田 雅之
ブレインゲイト(株)取締役パートナー。1973年生まれ。96年関西学院大学経済学部卒業後、外資系の食品会社、飲料会社を経てブレインゲイト入社。マーケティング、事業、企業ブランドの戦略策定に参画。2003年青山学院大学大学院(MBA)卒業。09年コペンハーゲンビジネススクール(MBA)卒業。特に消費財業界に強く、現場に精通した経験を活かしてコンサルティングに従事する。企業の人材育成にも取り組み、戦略実行に向けた活動を支援。食品、飲料、化粧品、医薬品、日用雑貨、アパレル、宝飾品、流通、住宅・不動産、人材の各業界を長く手がけ、近年は自動車関連部品や機械、精密機器などの生産財領域にも活動を拡大している。
Amazonから一部引用
【編著者紹介】酒井 光雄
Amazonから一部引用
ブレインゲイト(株)代表取締役。1953年生まれ。学習院大学法学部卒業。企業のマーケティング戦略、ブランド戦略の第一人者。常に生活者を意識した独自の「価値づくり」を事業戦略にまで高め、価格ではなく「価値」で競える企業づくり、愛される商品づくり、企業ブランド価値の形成と向上、顧客との強固な信頼関係づくり、既存事業の深みある拡大など、「確実に事業を成長させていく戦略」を展開する。自動車関連、飲料、食品、ビール、アパレル、情報機器、化粧品、医薬品、宝飾品、住宅・不動産、人材、生活関連など100余社の著名企業のコンサルティングを行う。
本の概要
◆「125名の賢人・90の理論と手法・21社の成功事例」で、広大なマーケティングの世界が丸わかり!
◆「歴史」と「実務」の2つの視点から読み解くことで、マーケティングの知識と使いこなし方が一気に身につく!◆第1部→120年に及ぶ「マーケティング全史」を一気読み!
本書の「第1部 マーケティング発展史」は、これまで体系化されていなかった「マーケティング史」を、20世紀初頭の米国のマーケティング黎明期に始まり、ネット、ソーシャルメディア時代の数々の新手法まで、「125名の賢人・90の理論と手法」を、時代の流れとともに一気に紹介していくエキサイティングなストーリー。
◆第2部→理論や手法の使いこなし方を「成功事例」を通して学ぶ!
本書の「第2部 マーケティング実務編」は、「21社のマーケティング成功事例」を丹念に紹介することで、その企業の担当者が「最善の解」を導き出していった経緯を解説。「理論や手法をどうリアルビジネスで使いこなすか」が学べます。
ビジネスや経営の知識をさらに深めたい人はもちろん、これからビジネスという大海に乗り出す人にもぜひおすすめしたい、「マーケティングを学びたい」すべての人に沢山の学びと気づきを与えてくれる、経営書の新しいスタンダードです。
Amazonから一部引用
『マーケティング大全』を読んで感じたこと・学んだこと
ページ数が多いので本書で色々なことを学ぶことができました。
その学んだ中でも特に「この考え方・手法が参考になる!」というものを凝縮してご紹介させていただきます。
アンバサダーマーケティング
アンバサダーマーケティングとは、「アンバサダーを見つけ、共にマーケティング活動をすること」と本書に書かれています。
アンバサダーマーケティングのポイントは、
- アンバサダーに報酬を払わない
- アンバサダーに手間をかけさせない
- アンバサダーの発掘と活性化は継続的に行う
- アンバサダーの意見に耳を傾け、彼らのやる気を引き出す
- 結果を追跡して最適化する
の5点です。
まとめると、
- 企業とアンバサダー、双方向のコミュニケーションをとりながらすすめていくマーケティング
だと私は感じました。
では、アンバサダーとは何か。
それは、
- 自社の商品をすすめたくて仕方がない人
のことです。
私は本書を読みながら、インフルエンサーと混同しやすいなぁ、と感じました。
しかし、アンバサダーとインフルエンサーには明確な違いがあります。
それは、
- コミュニケーションのベクトル(方向)
です。
インフルエンサーであれば、フォロワーやファンなど、自分のコミュニティに向けて発信を行います。
一方、アンバサダーはフォロワーやファンと双方向のやりとりを通じて熱量を伝播させていく役割をはたします。
イメージでいうと井戸端会議がまさにアンバサダーマーケティングと言えるでしょう。
想像してみてください。
夕方のスーパーで、アンバサダーのAさんとその友達のBさんとのある日の会話です↓
Aさん「この間買った炊飯器めっちゃよかったわ~。ご飯がめっちゃおいしいねん!」
Bさん「どれぐらいおいしなったん?」
Aさん「いつも食べてるお米の100倍ぐらいおいしくなるねん!いや、ホンマに!」
Bさん「いや、そんなアホな!100倍はいいすぎやろ!」
Aさん「それがな、中の釜がすごいらしいねん。土鍋で炊いたみたいふっくらしてて、あま~いねん!」
Bさん「それはちょっと気になるな…」
Aさん「せやろ?今度炊きたて持ってくるからいっぺん食べてみて!」
後日…
Bさん「Aさん、この間はお米ありがとうな~。めっちゃおいしかったわ~。」
Aさん「せやろ?そう言うてもらえる思って、Bさんに勧めて~ん。」
Bさん「Aさんが熱心に勧めてくれるから、ウチも同じやつすぐ買ってん!」
Aさん「そうなん!?買ってみてどう?」
Bさん「旦那も子どもも大喜びで買ってよかったわ!勧めてくれてホンマありがとう!今度はCさんとDさんにも教えてあげなあかんな!」
Aさん「せやな!」
と、このように熱心に自社の商品を販売してくれる人、つまりアンバサダーを増やしてくことで成果を上げるのがアンバサダーマーケティングです。
本書では、アンバサダーマーケティングのポイントの他にも、
- アンバサダーの発掘方法
- アンバサダーの増やし方
についても具体的に書かれています。
その内容に関してはぜひ本書を手に取って読んでいただきたいと強く思います。
マズローの欲求5段階説
マズローの欲求5段階説とは、アメリカの心理学者であるマズローが1943年に提唱した説です。
その5段階とは、
- 生理的欲求
- 安全欲求
- 社会的(愛情)欲求
- 尊敬(承認)欲求
- 自己実現欲求
です。
これらの欲求は内的に満たされやすい高次の欲求と外的に満たされやすい低次の欲求の2つに分かれます。
まとめると、
- 低次の欲求→外的に満たされやすい
- 生理的欲求・安全欲求・社会的欲求
- 高次の欲求→内的に満たされやすい
- 尊敬(承認)欲求・自己実現欲求
となります。
これらの欲求は低次の欲求から高次の欲求へと順番に満たされていきます。
マーケティングでは自社の商品がどの欲求を満たすものなのかを見極めることが成果を出す一歩につながると感じました。
マーケティングとは考え方のプロセスと視座のこと
この文章を見つけたとき、非常に驚きました。
なぜなら、
- マーケティング=手法・理論
と思っていたからです。
著者から言わせると、マーケティングの理論や手法はマニュアルではなく、
- 先人が教えてくれた『考え方』のプロセス
- 先人が教えてくれた『視座』
のことだそうです。
このことを理解しているかどうかでマーケティングの価値も大きく変わってきますよね。
『考え方』と『視座』を学び、正しく実践していけば自然と結果がついてくると私は感じました。
また実務面でも金言があります。
それは、
- マーケティングにベストな解などない
- どれだけベターな解を見つけることができるかが大切
です。
マーケティングのことを考えると「ベストな答え」を探そうとしてしまいませんか?
著者は「実務において、マーケティングの答えは1つではない。」と断言しています。
マーケティングで”飯を食う”人間だからこそ出る言葉だと感じました。
この一言でだいぶ肩の力を抜くことができました。
この他にも著者はマーケティングの注意点にも言及しています。
それは、
- 他社と同じ理論や手法を用いて分析すると互いに似通った内容になり、価格競争、つまりは消耗戦になる
ということです。
よく考えると当然の結果ですよね。
競合が自社と同じ規模であれば価格で戦うしかありませんよね。
自社の強みを自覚し、磨きつづけることで初めて差別化につながります。
このことこそがマーケティングの役割だと感じました。
口コミ
評価: 5.0
マーケティングに関する文献やWebサイトはいろいろありますが、
年代や歴史、分類などで整理できている書籍はなかなかなく、
ちょうど、本屋で見かけて、amazon で購入しました。
いろんなマーケティングの知識を得たあとだったので、
雑然としたものが整理され、非常に助かりました。
最初に読むべきかどうかはわかりません。
評価: 5.0
本書は、マーケティングをどこから
勉強したら良いか分からない方にお薦めです。
それぞれのマーケティング手法の
歴史から学ぶことが出来るので、
基礎から応用まで身に付きます。
しかも、誰でも知っているような
大企業の実例が載っているのが
とてもイメージしやすかったです。
評価: 3.0
本の厚みの割には中身のボリュームは今ひとつ。マーケティングの歴史を体系的に記している点は評価できるが、後半の実務編は終始ベタな内容となっている。
評価: 3.0
前半のマーケティング発展史は、時代背景とともに各理論が解説され、初心者にも分かりやすい内容だと感じました。ただ、書き方が教科書的なので、人によっては通読するより索引を用いて辞書のように使用するのがよいかも知れません。
一方、後半の実例集は、読み物としても面白く、参考にもなります。
全体としては、自分の仕事にすぐ役立つかどうかは別として、持っておいて損はないように思いました。
『マーケティング大全』読後感想まとめ
読後の感想をまとめると、
- SNSで見かける自称マーケターとはまったく違う、本物のマーケターが書いた一冊
- マーケティングを軽く見ていたが、価値観をひっくり返される
- 古今東西のマーケティングを学ぶのに最適
- 実践編の企業例がそれぞれの企業の息づかいまで聞こえるほど具体的に書かれている
といった内容になります。
この記事では触れていないのですが、本書の後半で実在の企業の事例も紹介しています。
その部分を読んで学ぶだけでも本当に価値があると思います。
余談ですが、マーケティング本を読むにあたって資料集的な本があると理解が深まります。
私が資料集として活用している本がコチラです。
見開きを説明に1ページ、図解に1ページで配置しているので視覚的な理解がしやすくなっています。
もちろん内容もGOODです。
よろしければこちらもお手元にあると非常に便利です。
今回ご紹介した書籍
最後に
実はこの本の出版年は2014年と少し古いので、最新の事例には対応していません。
しかし、そのデメリットを感じさせないほどの圧倒的な情報量で脳髄を揺さぶられます。
私みたいに鈍器本が大好物の方には特にオススメです。笑
これからも知識を増やして、実務に活かしていきましょう!